【徹底解説】会社員の副業行政書士は可能|週末行政書士が始める前に気をつけること
- 行政書士試験に合格して登録するか考え中の人
- 行政書士で副業は会社に内緒でできるのか知りたい人
- 行政書士の副業のメリット・デメリットを整理したい人
行政書士試験に合格した後その資格を使って副業を検討している人も多いでしょう。
行政書士をそもそも副業としてできるのか、本業と両立できるのか不安な人も多いと思います。
私も同じ思いを持っている未登録の試験合格者ですが、副業について様々な角度から調べました。
結論、行政書士は副業可能ですが気を付けることや工夫することが多いです
この記事では会社員の方が行政書士を副業する際の制約から現実的に両立できるかまで広く解説しています。
行政書士の資格を副業という形で活かしたい方はぜひ最後まで読んでみてください。
くろまる
Profile
30代男性サラリーマン
まったくの法律初学者の状態から独学で行政書士試験に合格しました。
行政書士の開業についてのノウハウを蓄積中です。
保有資格(試験合格含む)
▶行政書士試験合格
▶宅地建物取引士試験合格
▶日商簿記検定2級
▶ビジネス実務法務検定2級
いざ行政書士を副業にしたいときに分からないこと・不安なことが多すぎる
行政書士でいきなり開業するのは不安がつきまといます。
「行政書士は食えない資格」「3年以内に廃業する人がほとんど」などと聞けば、そうじゃない人がいると知っていてもやっぱり不安ですよね。
行政書士として稼げるようになるには大変な苦労が必要だとどの書籍を見ても書いてありますし、最初から本業なしでいくことに不安を感じない人はいないでしょう。
やはり副業行政書士には大きな魅力を感じますよね
副業で行政書士を始めて徐々に稼げるようになり、軌道に乗ってきたら行政書士一本にするのがリスクを抑えた理想的な流れですよね。
行政書士の古川ヒカル先生も同様の趣旨の内容を発信しています。
副業行政書士を魅力的に思う一方で、いざ検討するときに次のような疑問が出てくると思います。
- 本業が副業禁止の場合会社にばれないか
- 本業が副業禁止の場合相談した方がいいのか
- 行政書士法、行政書士倫理上の留意点、申請拒否にならないか
- 平日に時間が取れず官公署に行けないのに副業として成立するのか
これらの疑問・不安について詳しく解説していきます。
本業の会社で副業を禁止している場合
大企業中心に副業解禁の流れになってきていますが、まだまだ副業禁止の会社も非常に多いと思います。
会社が副業を修行規則で禁止している場合に会社に黙って副業をするという選択があります。
厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では以下の記載があります。
オ 副業・兼業の禁止又は制限
(ア) 副業・兼業に関する裁判例においては、
・ 労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労
働者の自由であること
(中略)
(イ) なお、副業・兼業に関する裁判例においては、就業規則において労働者
が副業・兼業を行う際に許可等の手続を求め、これへの違反を懲戒事由とし
ている場合において、形式的に就業規則の規定に抵触したとしても、職場秩
序に影響せず、使用者に対する労務提供に支障を生ぜしめない程度・態様の
ものは、禁止違反に当たらないとし、懲戒処分を認めていない。引用:厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン』
一見大丈夫なように見えますが、会社に副業が知られるとトラブルになるのは避けられませんし、業務に支障が出ているなどの懲戒の合理性があれば懲戒になる可能性もあります。
いろいろ調べてみた結果、隠れて副業はやめておいた方がよさそうです
就業規則違反のトラブル以外にも主に次の理由からおすすめできません。
- 隠し通すのは大変だから
- 住民税や社会保険料が原因で知られる可能性がある
- 自分の名前がネット検索でヒットして知られる可能性がある
隠し通すのは大変だから
副業が会社に知られてしまう原因として良くあるのが、「ついうっかり自分から話してしまう」ことです。
行政書士で売上を上げるのは大変な苦労を伴うものだと思います。
そんな行政書士の苦労や悩みを日頃から考えていると、飲みの席などでついうっかり話してしまうという可能性があります。
受任できて売上が出た時も同様でつい周囲に話したくなってしまうかもしれません
1日のうちの大半を過ごす会社で行政書士の副業を徹頭徹尾隠しきるのはなかなか難しいことだと思います。
住民税や社会保険料が原因で知られる可能性がある
「所得が20万円未満だから納税しなくていい」と聞くことがあるかと思いますが、それは所得税の場合です。
住民税は20万円に関わらず所得が発生すれば納付する必要があります。
所得税は自身で申告納付ができますので本業に知られずに納付ができますが住民税には注意が必要です
副業は住民税でばれやすいというのはよく知られています。
住民税を特別徴収という給与から差し引く方法で納付すると、本業の会社に合算の収入に対する住民税が通知されるので「他にも収入がある!」とばれやすくなります。
副業の住民税を自分で納める普通徴収という方法であれば問題ないとい場合もありますがここでも注意が必要です
行政書士と言っても働き方の幅が広く個人で開業以外にも、パートやアルバイト・勤務行政書士として雇われる場合があります。
この場合は原則特別徴収によることになるので自分で納めるといった対応ができない可能性があります。
また、副業での収入が社会保険の強制加入要件を満たす場合も同様に注意が必要です。
社会保険は強制加入?入りたくない社員への対応はどうする? | 給与計算ソフト マネーフォワード クラウド (moneyforward.com)
行政書士の副業の場合あまりないとは思いますが社会保険も気にかけておく必要はあると思います
社会保険料を計算するための等級が記載される決定通知書が本業の会社に届く際に、その通知書にしっかり副業の報酬月額が記載されてしまうためです。
この点も個人で開業していれば気にしなくていい点ですが、他の勤務形態であれば注意する必要があります。
自分の名前がネット検索でヒットして知られる可能性がある
行政書士として登録をすることになると、日本行政書士連合会や都道府県の行政書士会のページに登録されることになります。
ネット検索すると自分の名前と事務所の住所が出るようになります。
もし事務所を自宅に設定していればすぐばれてしまいますね
また、行政書士として営業していく以上自分の名前を出すことは避けられません。
ホームページを用意したり折り込みチラシを投函したりDMの方法で集客を行う際に、直接または間接的に本業の会社が知ってしまう可能性は否定できません。
禁止でも副業したい場合は企業に相談がオススメだが注意も必要
会社にだまって副業で行政書士をするよりは会社に許可してもらえないか相談してみるのがよいと思います。
私が副業開業について参考にしている以下の書籍では副業禁止の会社を説得して認めてもらった事例が載っています。
書店にはなかなか置いてないのでネットで購入するのがオススメです
会社に相談してみる場合でももちろん許可してもらえない可能性もありますし、会社側に副業を考えている社員という印象が付いてしまう点には注意です。
行政書士法、行政書士倫理上の留意点
行政書士法上では副業を禁止する規定はありません。
行政書士に登録してすぐに稼げる人はまれだと思うので別の収入源も認めてもらわないと生活に困りますよね
副業で行政書士をすることに対して制約はないものの、以下の条文には注意する必要があります。
行政書士法
(依頼に応ずる義務)
第十一条 行政書士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことができない。
(登録の抹消)
第七条
2 日本行政書士会連合会は、行政書士の登録を受けた者が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を抹消することができる。
一 引き続き二年以上行政書士の業務を行わないとき。
行政書士倫理
(依頼の拒否)
第13条 行政書士は、正当な事由がある場合において依頼を拒むときは、その事由を説明しなければならない。この場合において依頼人から請求があるときは、その事由を記載した文書を交付しなければならない。
(業務取扱の順序及び迅速処理)
第17条 行政書士は、正当な事由がない限り、依頼の順序に従って、速やかにその業務を処理しなければならない。
依頼を本業の多忙さを理由に拒否するのはNGの可能性が高い
行政書士は正当な理由がある場合でなければ行政書士法第11条の依頼に応ずる義務により、依頼を拒むことができないとされています。
また行政書士倫理の第13条の依頼の拒否により依頼者に拒否理由を説明しなければならないと規定されています。
副業として開業しているかどうかは依頼者にとっては関係ないので、依頼はいつ何時でも来る可能性があります。
その時本業多忙さを理由に依頼を拒否することは「正当な事由」とは言えないと考えていいでしょう。
また本業のせいで官公署の窓口に行けないので拒否するといった理由も同様と言えるでしょう。
依頼者から行政書士会へ苦情が入ってしまう可能性もありますよね
依頼をもらったら迅速に対応しないといけない
行政書士倫理第17条で迅速処理に関する規定が置かれています。
当たり前のことですが案件を受任したら速やかに処理していかなければいけません。
例えば建設業許可の更新であれば期限が決まっていて、更新が間に合わなければ失効することになります。
本業が原因で迅速に対応できず更新に間に合わなければ大惨事になるのは想像しやすいと思います。
登録だけして活動しないと2年で資格を抹消される
行政書士を登録だけしておいてそのうち活動を本格的にしていきたいと考える場合もあると思います。
開業した以上、都道府県の行政書士会へ登録をされた状態になりいつでも受任できるようにしないといけません。
さらに2年間何もしなかった場合にはせっかく30万円近い登録料を支払ったのにも関わらず行政書士法第7条に基づき資格を抹消されてしまうことにもなります。
登録=活動開始する必要があります。
本業と副業を両立するためのアイディア
本業と行政書士を両立するために大きなカベとなるのが官公署の受付窓口が本業時間と被っているという点です。
本業終業以外の時間をいくら有効に活用しても窓口が開いている時間に訪問できないのであれば業務が完了しない、なんてことになってしまいます。
DXのこのご時世でも申請書の受付はまだまだマニュアルな部分がおおそうです
副業をする際に大きなカベになりそうですがこの問題を乗り越えるための解決策を考えなければいけません。
- 電子申請をメインで取り扱う
- 窓口への書類の持参のみ他の行政書士にお願いする
- 窓口への書類の持参を伴わない権利義務や事実証明書類作成を扱う
平日窓口に持参できないので副業できない訳ではなく工夫次第で何とかできる可能性もあると思います。
また、本業の方を見直すという考え方もあります。
普通の会社員と同じ働き方をしつつ副業で行政書士が加わるとセルフブラックになり心身に大きな影響が出るのは避けられません。
本業と副業の繁忙期が一緒に来たら乗り越えられるか不安ですよね
行政書士を本気で本業にしたいのであれば副業の比率を最初から少し重めに設定する必要があります。
そのためには本業の方を柔軟にスケジュールリングできる仕事へ変える検討をするのもアリだと私は思います。
さいごに:行政書士の副業は工夫とやる気次第
行政書士の副業は禁止されておらずやろうと思えばできると思います。
本業しながら加えて行政書士の仕事をするためには、どういった業務を取り扱うかの工夫が必要です。
そして取り扱える業務が見つかったとしても体はひとつしかありません。
平日は仕事終わりに数時間行政書士の業務を行い、休日も週2日のうち1日もしくは1日半使うなど1週間のほとんどを何かしらの仕事をする必要が出てきます。
本業と副業両方支障なくこなすための健康管理も大事な課題になってくると思います。
副業というとキャリアアップやキラキラしたイメージがありますが現実はなかなかの根気が必要そうです
副業の検討をする方にとって何かヒントとなる情報があれば幸いです。
実際に副業から始めて軌道に乗せた方々のエピソードが以下の書籍で詳しく解説されていますので、もっと情報を知りたい方は活用をオススメします。
ここまで読んでいただきありがとうございました。